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宮部 勝之
MIYABE Katsuyuki

「祈り」と「踊り」

これまで私は、祈る人々と、踊る人々を追い続けて来た。
そのふたつになぜ心惹かれるのかわからなかった。

しかし、とある機会に、私の先祖が一遍上人の流れを汲み、
修験の者であったと判明してから、
「祈り」と「踊り」は
私にとっての業であることに気付かされた。

祈り、踊る人々を前に、
私は、無心でシャッターを押していたが、

その姿は、南無阿弥陀仏と祈りながら踊り続けた、
一遍上人に重なっていたのだった。

私にとって、撮ることは祈ることに他なからなかった。

”捨ててこそ”
捨聖と呼ばれた一遍上人は、土地も家族も捨てて、遊行の旅に出た。

一遍上人の足跡を辿るにつれ、
私ももはや、自分が何者であるか、どうでもよいと思うようになった。

経歴や肩書は捨てよう。

いずれ名前も捨てるのかもしれない。

ただ願わくば、私の見た風景は、
時空を越え、千年先まで残って欲しいと思っている。

なぜならそこには、私にとっての神が写っているから。